夜の公園/川上弘美

これまでに読んだ川上さんの作品とはちょっと違う。
センセイの鞄も大人の恋愛の物語といえばそうなのですが
この本の方がもっと生々しい(性描写が多いとかそういうことではない。)
登場人物の中で「リリ」だけが
これまでの川上作品の登場人物で、
それ以外はもっと、実際に存在している人みたい。
今までの本だと、すらっと読めたかもしれないけど、
こういう風に書かれていると、「リリ」に感情移入することが難しい。
ただ、「私は本当にこの人のことが好き(だった)のだろうか」
というような、自分の気持ち、人の気持ちの曖昧さ
みたいなものはすごくよくわかるような気がする。
でも私はやっぱり川上さんの作品の
現実を書いているもの?それともきれいな物語?
というような淡いタッチのものが好きなんだなぁと
この作品を読んで改めて気がついた。